四足の像
右よりも左が好きなのは、小さいころからずっと左に肩入れしてきたからだった。偶数より奇数に、AよりもBに、花よりも草に、快速よりも各停に、晴れよりも雨に、御堂筋線よりも谷町線に、新作よりも旧作に、春よりも冬に、表よりも裏に。でもそれは肩入れというより、身を寄せて灯火をすこし分けてもらうようなことだったのではないかと、いまになって思う。