2023/09/17

何度も台所へのぼるふたつの気をそらすために、手にしていた鉛筆を、止まっている扇風機のふちに滑らせた。かんかんと音がする。知らない音に振り向き、じっと見て、こっそり近づいてくる。また鉛筆を滑らせる。まんまるの目。滑らせるのをやめると、ふたつは扇風機ではなく鉛筆をじっと見る。それを何度も。ふたつにとって鳴っているのは扇風機でもその接地面でもなく鉛筆なのだった。そういうこともあるかもと思う。