ふたつはわたしたちが出かけるのをひどく嫌がるようになった。普段から誰かのそばにいるのが好きなわりに、人が出かけるときにはそれはそれでと平然としていたが、最近になって、変わった。わたしが眉を描いたり服を選んだりして、外へ出かけようとしていることに気がつくと、信じられないという目で見て、混乱したように鳴いて、複雑かつ突発的な動きで部屋を駆ける。吾輩がいまのふたつくらいの年齢だったころ、彼女もわたしたちが出かける準備をしはじめるとすごい勢いで走り回ったり、ワードローブの奥へ引きこもったりしたのだった。その吾輩がやがて、ベッドに横たわりながら、しらけた、しかし睨みつけるような目つきで支度を眺めるようになったのは、年齢か、あるいは経験が彼女をあきらめさせたのか、そのどちらでもあるように思う。ふたつはどうだろう。