折り合いという生活のことを考えている。一日につけた折り合いの数。取り返しはつかないが、日々は小さなやり直しの連続で、途切れることはなく、けれどときどき裂け目がある。
ふたつは吾輩とちがって爪切りが嫌い、というか自分の意思でなければどんな体勢であれ嫌いで、爪切りなんてもってのほかという感じである。病院で切ってもらおうかと考えたこともあったが、病気ではない=心身が弱っていないねこを病院へ連れていく準備ほど大変なことはないので、それに比べればお互いましでしょうと一方的に話をつけて、たまに少しずつ切らせてもらっている。今日は右手の二本だけ。終わるとソファの下へ逃げこんだが、まもなくして水を飲み、しっぽをピンとたてて足もとに頭をすりつけてくる。過ぎたこと、過ぎること。過ぎゆくままに。